「孫子の兵法」は現代に応用できる
兵法とは「戦いのノウハウ」ですが、基本的には理詰めであり、ロジカルシンキングです。そのため、いつの時代もあらゆる分野で使うことができます。
いくつかの事例を交えて見ていきましょう。
目次
ビジネスに応用できる「孫子」のスキル
「孫子」は、ビジネスの世界でもスポーツの世界でも、人生においても、多くの人たちが学び参考にしています。松下幸之助さんは「孫子」を暗誦していたと言いますし、ビル・ゲイツは座右の書にしていると言います。
一般的には断片的に名言が切り取られて語られることが多いようですが、本来は戦い方の要諦をまとめたものです。
国は滅べば終わりです。人は死ねば生き返りません。戦争はやり直しが効かないのです。ですから、戦争には細心の検討をもって臨べきでしょう。「孫子」とは、そんなやり直しの効かない戦争で構築されたノウハウです。
ビジネスはよく戦いに例えられます。競合他社がひしめくなか、限られた資源を配分しながら成果をあげていかなければなりません。そう考えると、確かに、ビジネスと戦いはよく似ています。
生きるか死ぬかの真剣勝負の中で磨かれた「孫子」のスキルは、ビジネスという名の戦争の中で大いに応用できるのです。
人生の転機に中国古典を読もう
私は人生で悩んだ時には、いつも書籍からヒントを得ているように思います。会社の中や人生の分かれ道に立たされた時に、まずは少しでも関係性がありそうな本を読もうと決めています。
色々調べていくうちに、多くのリーダーたちが読んでいるのは「菜根譚」や「老子」など、中国古典と呼ばれるものだったのです。その中でも圧倒的に支持されているのが「孫子の兵法]」でした。
戦略を説く「孫子の兵法」を読み進めていくと、仕事に大いに役立つことがわかってきました。原文は難解なため、現代語訳で、しかも解説付きの本を探すと、守屋淳さんの『最高の戦略教科書 孫子』に行きつきました。
中国古典思想の権威と言えば守屋洋先生が有名ですが、その息子さんで守屋淳さんもまた「孫子」の研究をされています。親子の共著もあり、中国古典を学びたい人におすすめです。
最善の策とは、戦わないで敵を屈服させること
「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」という言葉が「孫子」にあります。百戦戦って、百回勝っても、百回も戦えば資源や組織や自分自身もボロボロになります。下手をすれば漁夫の利をさらわれてしまうかもしれません。それでは、勝ったところで何もなりません。最善の策とは言えないでしょう。
同業者を敵を思わず、仲間だと思えばいいのです。訴訟などしないのが一番ですし、大手企業と張り合うと最悪は潰されてしまします。一緒にやることを模索することです。
これも孫子の「戦わずして兵を屈する」の教えに沿っています。
戦いを避けながら伸びていくこと
知り合いに、凄腕営業マンのMさんがいて引くて数多の大活躍なのですが、そのMさんに地方にいないで東京などの大都会で活躍する気はないのか尋ねて見たところ、彼は一切考えていないと答えました。「東京には優秀な人材が星の数ほどいて、自分が活躍できるかわからない」しかし「地元のナンバーワンになら頑張ればなれそうだから地元で戦わせていただいている」という答えでした。
彼も「孫子の兵法」の愛読者です。
ビジネスの世界にも強者と弱者がいます。弱者の最たるものが1人で起業した人たちでしょう。あらゆる分野で後発ですし、資源も限られています。Mさんがとった戦略は、大手企業や先行者らを研究し、相手が関心を持たないところを見つけ、戦いを避けながら伸びていくことだったのです。
Mさんの戦略もまさに「孫子の兵法」のスキルを実践しています。
孫子のロジカルシンキングはあらゆる分野に使える
「孫子」の有名な言葉に「彼を知り、己を知れば、百戦して殆うからず」とあります。孫子はこのとき「敵」という言葉を使わず「彼」といています。この「彼」には「敵」以外の環境全てが含まれるとする研究者もいるので、ビジネスで言えば、ライバル会社だけでなく、政府の方針転換や市場の変化、消費者動向といったことを調べなさいという教えととらえることもできます。
さらに、「彼」よりも、「己」を知ることの方が遥かに難しいのではないでしょうか。自分が本当にやりたいことは何なのか、これを知らずにビジネスは始まらないと思うのです。多くの人は自分のことなのに、自分よりも外に答えを求めようとします。まずは静かな場所で自分に聞く時間を作るようにしましょう。
このように「孫子」のスキルはいくらでも現代に応用できるのです。兵法とは「戦いのノウハウ」ですが、基本的には理詰めであり、ロジカルシンキングです。ですから、時代を超えてあらゆる分野に使えるスキルなのです。
勉強にも、人間関係にも、家族内の交渉ごとにも十分対応できるのです。
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